2019 . 01 . 01

きょうだいの私結婚どうする?参加レポート~きょうだいの結婚へのハードルは、案外高くないかもしれない~

 きょうだい児が成長して最も悩むことの1つが、結婚。きょうだいが集まると、必ず話題になる「鉄板ネタ」です。その本音をみんなで考えてみようと、昨年2018年11月10日に行われたのが「きょうだいの私、結婚どうする?~リアルに語る結婚観~」(障がい者のきょうだいの会ファーストペンギン主催)。Sibkoto運営者の持田と藤木が登壇。参加者の磯脇洋平さんによるレポートです。


結婚相手と出会うまで


山下 持田さんに聞きたいんですけど、バリバリ仕事をして生きてきた中で、結婚願望もまったくなかったって言ったじゃないですか。でも今、結婚しているじゃないですか。じゃあ、どんな恋愛をして、どうして今の人を選んだんですか?
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持田 (笑)。すごく実は長い道のりがありまして(笑)。30代までは本当に全然結婚したいと思っていなかったんですね。ただ30代から40代前半にかけて、父親の看取りと、母親が要介護5になるという状況を経験しました。その後、だんだん母親と兄にケアをする時間が多くなって、その分自由に今まで過ごしていた自分の時間が減っていきました。
 最終的には、母は高齢者介護施設、兄は障害者施設に入所したんですが……。今度は急に、さみしくなってしまいまして……(笑)。実家に1人になったときに、「これ、このまま、私1人でいるの?」と急に思うようになって、結婚願望が0%から100%に一気に針が振れたんです。それで40代前半でいきなり婚活をはじめて、夫にめぐり合いました。

山下 藤木さんは、どうして今の人を選んだんですか?

藤木 私、「アナと雪の女王」のエルサみたいな、ちょっと「こじらせた」感じだったんですけど(笑)、選ぶ相手もブラックジャックみたいな「こじらせた」人ばっかりで(笑)。
 障害とか家族とかの問題がない「家族なかよし」みたいな人には、私の方が「理解してもらえない……」って感じてしまいましたし、家庭環境で苦労した人とは、最初はわかり合えるのですが、お互いに不幸を比較するような空気になってけんかになることもあったりして……。
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 同じ苦労をした人でも、障害とか介護とか、自分と近い感じの苦労をした人に相手を決めよう、と思ったところで、夫と出会いました。夫は、家族の介護をした経験があったので、通じ合うところがありました。

山下 太田さんは、どんな感じだったんですか?

太田 1歳上の姉もいて本当は3人きょうだいなんですが、24歳までは「2人きょうだい」って言っていました。幼い頃、同級生から障害のある弟のことでからかわれたことがコンプレックスになっていて、あえて実家から遠い高校、実家から遠い大学、全国転勤のある会社、という進路を選んできました。
 障害のある弟がいるからフラれたってことはなかったんですが、弟の存在はずっとネックだなって、自分の中で不安に思っていました。30歳過ぎに、6年間付き合った人と、15年間で16回も転勤するような私の仕事の都合が原因で別れたんですが、その人には弟のことも話せたんですよ。相手が嫌いで別れた訳でもないですから、かなりショックでしたね……。
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 そんな人間関係も会社での仕事もうまくいかなくなったときに、「俺は不幸な男だ、弟のせいだ」と考えてしまう自分がいました。そのとき初めて、「弟のせいだ」と考えたわけでもなくて、ずっとそんな感情はあったと思うんです。
 でもある日、そんな自分が嫌になって、「何でも弟のせいにするのはやめよう、今後一切やめよう」と決めてから、職場の同僚にも弟のことをカミングアウトしたりと少し明るくなれて、その時期に、奥さんに出会ったって感じです。

家族の存在を恋人にカミングアウトするだけじゃなく……


山下 私も7歳上のアルコール依存症と精神障害の兄のことは隠して生きているところがあって……。そういった中でカミングアウトするって、すごく難しい問題だと思うんです。昔の太田さんと同じで、私のほとんどの友達は、私は「3人姉妹」だと思っています。4歳上の知的障害の姉のことは言えるんですが……。なので、ほとんどの友達が兄のことを知らないんです。友達にも話せないような状況なのに、恋愛の中ではどのタイミングでカミングアウトすればいいんでしょうか?

藤木 カミングアウトって難しいですよね……。大学生ぐらいのときは、付き合ってから、悩んで悩んで泣きながら話す、っていうような感じで。それ自体が超重すぎますよね……。
 私、「きょうだいです!」って看板を背負っていたいくらいカミングアウトが苦手で、今は「法律事務所シブリング」っていう英語で兄弟姉妹の意味の事務所名を掲げたんで、その説明をきっかけに話せて楽なんですが……。カミングアウトについては、実はかなり悩んでいました。
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 ただ30歳を過ぎてから、早く言って付き合った方が時間的にもいいし、きょうだいの私でOKな人の中から気の合う人と付き合った方がいい、って現実的に考えるようになりました。今は、きょうだいとして活動しているので、誰にでも、初めて会って自己紹介をするときに、「きょうだいです!」って言うようになりました。聞いた人はびっくりですよね(笑)。

持田 恋愛の前に友達にどうカミングアウトするか、っていうことも難しいですよね。私は高校生のとき、楽しく遊んで先生に怒られる(笑)みたいな6人のグループの中の自分と、シリアスな話を聞いてくれる1人の友達と泣きながら話す自分とを、分けていました。
 その延長線上で恋愛って考えると、大学時代の藤木さんと似ているんですが、恋人にはすごくシリアスに重たーく話してしまっていましたね。それが社会に出ると、会社にいる自分、会社以外の友達との自分、などと、いろんな自分が増えてきますよね。30歳ぐらいになって、「兄のことを誰にどう話したか」がだんだんごっちゃになってきちゃって(笑)

山下 確かに私も同じようなことを考えます。太田さんはどうですか?

太田 30歳を過ぎてから、職場の同僚とかにカミングアウトをしはじめて、それはうまくいったんです。それで、そもそもこれは、きょうだいとかまったく関係なしで、男性には思うところがあるかもしれないですけど……。30歳を過ぎると、何か、無駄にプライドが高くなったり、ちょっと臆病になったりすると思うんですね(笑)。
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 20代の頃だったら、「ご飯食べに行きましょうよ」とか、「LINE教えてくださいよ」とか、軽く言えたのが言えなくなってくるんですよね。もし冷たくあしらわれたら、傷ついてガラスの心がパリっといっちゃいますし(笑)。やっぱり、フラれたくないし、カッコ悪くなりたくないし、さみしい思いもしたくないじゃないですか。そういう部分が結構出てきてしまって、家族のことというより、自分の気持ちをカミングアウトするってことが、できなくなっていましたね。

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