2019 . 01 . 01

きょうだいの私結婚どうする?参加レポート~きょうだいの結婚へのハードルは、案外高くないかもしれない~

 きょうだい児が成長して最も悩むことの1つが、結婚。きょうだいが集まると、必ず話題になる「鉄板ネタ」です。その本音をみんなで考えてみようと、昨年2018年11月10日に行われたのが「きょうだいの私、結婚どうする?~リアルに語る結婚観~」(障がい者のきょうだいの会ファーストペンギン主催)。Sibkoto運営者の持田と藤木が登壇。参加者の磯脇洋平さんによるレポートです。

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磯脇 洋平さん  (会社員)

1981年生まれ。独身。子どもの頃から、2歳下の重度の知的障害と自閉症を持つ弟と、横浜の実家で暮らす。大学卒業とともに実家を離れ、京都の出版社で約6年、書籍編集者として働いた後、東京で大学職員、ライター、書籍編集者を経験。「しんどい人が少しでも楽になれるきっかけをもたらす」というモットーで、仕事をしている。

結婚する人生、とっくの昔に捨てました


 僕が社会人1年目の2005年の話です。
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 初めての1人暮らし、慣れない土地での生活、下積みが続く仕事。そんな中でも、本気で好きで、結婚したい恋人がいました。けれど、自分のことで精一杯だった僕に、恋人に向き合う余裕はなく、フラれたというわけです。別れ話でいろいろと言われたうちの1つに、こんな言葉がありました。

 「あなたの弟さんのことを受け入れる自信がない。」

 別れたくない僕を振り切るには、障害を持つ弟のことを言うしかないと、恋人はわかっていたんでしょう。その言葉を聞いて、「彼女は本当に別れたいんだ」と頭では理解し、別れを覚悟しました。そして当時の僕は、おそらくこれぐらいしか返せなかったと思います。

 「そりゃあ、そう、だよね……。」
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 それから、恋人のことを引きずりつつも、仕事に没頭した20代。会社の仲間に恵まれて、充実した京都での生活を送りました。「仕事にすべてを賭けるには、結婚どころか、恋人もいらない」。本気でそう思っていました。

 けれど、30代に入ると、同年代の友人たちが家族を築いてくわけです。人生観はさまざま、そう誰もが知ってる、とはいえ、です。同級生だけじゃなく、10歳ぐらい年下の友人にもお子さんが産まれたりする一方、自分は気づけば37歳という、おにいさんからおじさんへの境界を、半歩以上超えようとしている現実。

「このままじゃ、ヤバくない?」
 結婚するかどうかは別として、まずはいろんな人の生き方を聞いてみよう。そう思い、イベント会場に向かいました。
 今回、その様子をお伝えいたします。

そもそも、結婚したかった、したくなかった?



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持田恭子、太田信介、藤木和子、山下のぞみ(司会)



山下 私は今38歳で、独身なんですよ。結婚していない私から、結婚している登壇者の3人にいろいろと聞いていこうと思うんですが、まず、子ども、きょうだい児だった頃の結婚に対するイメージって、どんな感じでしたか?
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藤木 3歳下に聴覚障害の弟がいるんですが、私はすごく結婚したかったです。シンデレラとか白雪姫とかお姫様が大好きな子で。実は今日、母が会場に来ているんですが、「母のような人生で、弟に障害がなくて、かわいいお嫁さん」みたいな感じが、本当は理想でした。
 ただ、父も弁護士なんですが、アニマル浜口さんみたいに「弁護士になれ! 気合だ! 気合だ!」って感じだったんで、勉強しまくって。気合で(笑)。でも実は、「いつか結婚して、実家を出るんだ」って思っていました。
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太田 今は2児の父ですが、7歳下に中度の知的障害と自閉症の弟がいて、自分が9歳のときにそのことがわかりました。それから父がなかなか大変だったので、その様子を反面教師に思いながら、「こういう親にはなりたくない」と思っていました。
 でも、結婚願望はありました。それは大人になっても変わらなくて、大学進学で実家を出て、社会人になってからは、「1人の社会人として家庭が持てるように、がんばって稼ごう」という気持ちで仕事をしていました。
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持田 2歳上に中度の知的障害とダウン症の兄がいるんですが、「兄がいるから」というよりも、子どもの頃から両親の姿を見ていて「結婚って大変だ」って思っていたので、結婚願望はありませんでした。
 あと、専業主婦の母親からは「これからは女性も社会に進出して強くなれ」と教わったので、「そうやって生きていくのかな」と思っていました。大人になってからも、かなり長い間そう思って働いてきました。

山下 太田さんと持田さんは、子どもの頃と大人になってからの結婚観があまり変わらなかったとのことですが、子どもの頃から結婚願望が強かった藤木さんは、大人になってから結婚観は変わりましたか?

藤木 私も変わらず、結婚願望は、彼氏ができたり、周囲が結婚していく中でさらに強くなっていきました。父が私のことを「いい大学に入った」というような面を中心に評価してくれた一方で、恋人にはそうじゃない部分も含めて全肯定してくれる感じがありました。なので10代・20代は勉強と恋愛が中心でしたね。
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【告知】「親ときょうだいが本音で語る未来と親なきあと」(2019年3月24日)開催決定
     詳細はこちら https://fastpengun20190324.peatix.com/

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