2020 . 06 . 19

KHJひきこもり兄弟姉妹の会 担当者の体験や思い【中編】

KHJひきこもり兄弟姉妹の会の担当者の一人であり、ひきこもりの経験がある深谷守貞(ふかやもりさだ)さん。深谷さんの体験や思い、KHJ全国ひきこもり家族会連合会、KHJひきこもり兄弟姉妹の会の活動についてインタビューしました。【中編】では、KHJひきこもり兄弟姉妹の会の活動内容やきょうだいの声についてまとめました(担当:Sibkoto運営者 松本理沙)


①ひきこもり本人のことから、親に対する思い、自分の悩みへ


先にも申し上げましたが、最初はひきこもりの本人のことで悩まれて会に参加されます。しかし相談会や居場所への参加を通じて、次第にひきこもり本人のことから、親への思いを吐露したり、自分の悩みを吐き出したりするように変化していくことがあります。「自分だって苦しかった」「親に対しての複雑な思いは同じだった」、中には「私は反発して家を出たが、姉はひきこもることで親に反発しているのかもしれない…」そういう気づきに至る方もいました。厄介な存在として捉えていたひきこもりの本人が、実は一番分かりあえる存在だったと気づいていくことがあります。

また、ひきこもり本人に対する悩みが、次第にきょうだい自身の悩みを吐き出すように変化されていく方もいらっしゃいます。気づきの中で、本人に対して向けられた負の感情が、実は自分の嫌な側面を投影していただけだった…と気づかれた方もいらっしゃいました。

親の前では話せないことも、同じきょうだいの立場だから話せるし、気づくことがある。親代わりに何もかもしなきゃいけない…と思い込んでいた方が、他のきょうだいの話を聞いて、その囚われを手放していくこともあります。同じ立場だからこそ、安心して悩みが話せるのだと思います。

②ひきこもり本人との距離感の難しさ


相談会や居場所でも毎回のように話題に出るのが、ひきこもりの本人との距離感です。歩み寄ろうと思っても、ひきこもりの本人から勝手に敵認定されてしまうケースが多々あります。例えば「妹のくせにとっとと結婚して、仕事もして、俺は何をやってるんだろう。妹に比較されたくない!」とか、「自分は長女なのに、本当は私がしっかりしないといけないのに…」みたいなかたちできょうだいに対して引け目を感じてしまう。幼い頃のきょうだい関係をいつまでも引きずってしまったり、ジェンダーの問題が絡むこともあります。きょうだいは自分の人生を生きているだけなのに、存在していること自体が本人の敵認定になってしまって「関係性を取ることが難しい」と悩まれるきょうだいは少なくありません。

一方で、きょうだいが親代わりになってしまう方もいらっしゃいます。親が高齢だから、親が何も言わないから…と、親の代わりにひきこもり本人に「働け!」「いつまでこんなことをしているんだ!」などと強く言ってしまう。本人からすれば、うるさい家族が増えるようなものです。子供の頃は一緒に遊んでいた仲なのに、口うるさい家族が増えて、益々追い込まれていってしまう。

中には、本人がきょうだいとだけしか話さない。親とは不仲できょうだいに依存してしまうケースもあります。きょうだいも自分の生活があって、本人の世話をし続ける訳にもいかない。そういう理由で、距離感にもの凄く困ってしまう。

いくつか紹介しましたが、きょうだいという親とは違った立ち位置というのは、距離感のつかみ方がものすごく難しかったりするのです。会に参加されるきょうだいには、10年以上会っていないとか、数年口をきいたことがないという方もいらっしゃいます。それでもこの会に来るのは、本人や親、家族を思いやってのことです。様々な情報を集めたり、社会制度のことを学んだりして、何かあった時のためにすぐ対応できるようにしておきたい。そのためにも準備だけはしておきたいという方もいらっしゃいます。

会に参加するきょうだいの方の中には、高齢の方もいらっしゃいます。両親は既に亡くされてしまって、ご自身の生活もあるので、本人の住む地域の様々な資源や制度を活用して、見守りを続けている方もいらっしゃいます。民生委員さんと連絡を取ったりですとか、保健所の保健師さんがたまに訪問に来てくれて様子を知らせてくれたりとか、社会資源を活用し周囲と協力しながら、本人との関係性を築いていっている方もいらっしゃいます。そういうお話が、他の参加者の参考になったり、気持ちを落ちつけていったりするのです。

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