2020 . 06 . 19

KHJひきこもり兄弟姉妹の会 担当者の体験や思い【中編】

KHJひきこもり兄弟姉妹の会の担当者の一人であり、ひきこもりの経験がある深谷守貞(ふかやもりさだ)さん。深谷さんの体験や思い、KHJ全国ひきこもり家族会連合会、KHJひきこもり兄弟姉妹の会の活動についてインタビューしました。【中編】では、KHJひきこもり兄弟姉妹の会の活動内容やきょうだいの声についてまとめました(担当:Sibkoto運営者 松本理沙)


②居場所(フリートーク)


相談会の後、居場所(フリートーク)の時間を設けています。14:30~17:00位まで約2時間半の時間で分かち合いをしています。居場所は、きょうだいの方々がそれぞれの思いを自由にお話しして、それぞれの思いや悩みを分かち合っていく場です。

ファシリテーターが進行しますので、初めてでも安心して参加頂けます。ファシリテーターはカウンセラーやソーシャルワーカーが務めますが、最近では兄弟姉妹のお立場で支援を学ばれている方にファシリテーターをお願いすることもございます。

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ファシリテーター研修の資料の一部。



居場所では最初にお一人お一人自己紹介をして頂いて、その時に一緒に近況や今の思いをお話し頂きます。その近況報告から、参加者間で分かち合いが始まります。例えば、ひきこもりの兄の暴言に悩んでいるというお話が出たら、暴言を受けた経験がある方がその経験をお話しされたりして、そこから話しが相互になされていく…という具合です。

先にも申し上げた通り、同じ立場ならではの分かち合いということで、他の方々と良い具合に相乗効果になることが多いんです。お互いが励まし合ったりとか、比較し合うにしても、いい意味で比べ合っていくと言いますか。他の兄弟姉妹との関わり方を聴くことで自分の関わり方を省みてみたりですとか。ですから居場所は毎月参加される方が何人もいらっしゃいます。

居場所終了後も、会場に残って話していたり、有志の参加者だけで居場所終了後にお茶を飲みにいったとかもあるようです。毎回参加される方が、新しく参加される方のメンターのようになっていったり、居場所ならではの交わりがあります。

居場所は毎回10名前後の参加者なのですが、昨年度から15名を超える人数の参加者になってしまって、相談会同様に月2回の開催にして、なるべく10名前後で分かち合いがなされるように工夫しています。居場所も相談会同様に事前の申込みが必要です。

居場所では、とにかく自由に思いを話して頂ける雰囲気を大切にしています。参加される方々は皆、他の参加者への配慮を意識してくださいますので、とても助けられています。ファシリテートしていても、意図的な進め方は、あんまり考えないで、きっかけを提供したり話がトーンダウンした時に促したりとかぐらいで、あとは自由に話が展開されていくことが多いです。それぞれの分かち合いを通じて、私自身が学ぶことのほうが多かったりします。

相談会と居場所の違い


相談会で話される内容と居場所で話される内容の違いですが、相談会に関しては、困り事が明確だったりするので、割合と直接的な助言、提案は多くなります。相談会に申し込まれた方は全員に「相談会シート」というアセスメントシートを作成して、提出して頂くんです。シートを作成することで、ひきこもりのきょうだいの様子や家族関係、過去の出来事を客観的に見ていただく機会となります。相談会シートの作成を通じて、ひきこもりのきょうだいについて知らないことや、思い込んでいることが明らかになったりすることもあります。

特に兄弟姉妹の方々は、自分の生活がございます。育児や仕事をしながら、ひきこもりのきょうだいとどう関わっていくか、そういう悩みや苦しみが根底にあります。

相談会では「ひきこもりのきょうだいのことで…」っていう具体的な困り事から話されていきます。居場所も最初は「きょうだいのことで…」という話からなのですが、参加者の中には、参加を重ねるにつれて気持ちの吐き出しに変化が見られる方もいます。最初はひきこもり本人のために参加していたのですが、自分の正直な心情や自分自身の葛藤、親に対する思いですとか、次第に自分事になっていく。居場所で自分自身が抱える悩みを話したいと気持ちが変化していく方もいらっしゃいます。

KHJ「兄弟姉妹の会」は、カウンセラーとソーシャルワーカーの体制で開催しているのですが、それは気持ちの吐き出しや正直な思いを安心して伝えられる場を大切にしたいからなんです。どうしてもきょうだいの方って気持ちの吐き出しのところが、結構、いろんな思いがあるので整理がつかなかったりします。それをきちんと整理していくというところでは、カウンセラーがきょうだいの思いを上手に聞き出していくことで落ち着きを促していきます。その上で先取り不安や困り事への付帯的な対応として、ソーシャルワーカーが社会制度の活用をご案内したりして安心感を促していきます。自分の生活を第一に考えながら、ひきこもりのきょうだいとどう関わっていくかを一緒に考えていくのです。

きょうだいはご自身の家庭や仕事、育児など、どうしても自分の生活があります。そういう背景を何よりも大切に考えて欲しいし、社会制度を活用しながら、ひきこもり本人や親との関わり方を考えていって欲しい。精神的な余裕のところで関わっていくことが大切だと思います。負の感情や恨みを抱えての関わり方では、どうしても無理が生じますし、双方が傷つけ合うことにも成り兼ねないのです。ひきこもり本人に囚われてしまうと、本人へのやるせなさが双方の関係性を不自由なものにしていきます。そのためにも社会制度を活用しながら自分の生活を大切にして、精神的な余裕や落ち着きを得ていって欲しいと思っています。

居場所の方は、それぞれの思いや悩みを皆で共有しながら考えていこうという雰囲気があります。「自分だったらこうだった」「私はこう思う」みたいな自分の経験を持ち寄りながら、お互いが様々な気づきを得ていくようです。

居場所の特徴ですが、居場所に長く参加されているきょうだいが、新しく居場所にいらした方の悩みを受け止めていく雰囲気があります。自分も苦しんできたからこそ、苦しみの渦中にあるきょうだいの思いが分かる。そうやって悩み・苦しみを受けとめ、分かち合いながら、気持ちを落ち着けて行く。長く参加されている方が、新しく参加された方のメンターのような関わり方が相互に行われるようになっています。

そして気持ちの落ち着きを取り戻した方が、また新しい方の気持ちを受け止めていく、そういう雰囲気を大切に続けていきたいと思っています。また、フリートークで話される内容が、自分が言いたかったことだと気づきに至ることも多いです。今までもやもやした気持ちを抱えていたけれど、上手く言語化できなかった。それが他の参加者の話を聞いて、自分の気持ちに気づいて、とても楽になった。そうやって落ち着きを得ていく方々も多くいらっしゃいます。きょうだいという同じ立場だから話せること、分かち合えることがあるんです。それが当事者だけのフリートークの分かち合いの意味だと思っています。

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