2020 . 04 . 09
きょうだいケア(NPO法人しぶたね清田悠代×Sibkoto藤木和子対談)[転載]
チャーミングケアモールインタビュー「きょうだいケア特集」に掲載の子どものきょうだい支援のNPO法人しぶたね清田悠代さん×大人になったきょうだいのSibkoto藤木和子の対談記事です[転載]。2020年4月10日、第2回きょうだいの日はもうすぐです。新型コロナウイルスにより非常に厳しい状況ですが、誰もにケアが必要であり、ご自身のことを大切にしていただきたいと心より願います。(Sibkoto運営者:藤木和子)

チャーミングケアモール さん
チャーミングケアモール~病気や障害のある子どもや家族のために~は、探して楽しむスペシャルキッズのマーケットです。病名や障害名で商品を検索することができることに加えて、それぞれの困りごとで絞り込みをかけることが可能です。今回は、様々な困りごとの中から、「きょうだいケア」をピックアップしました。https://charmingcaremall.com/
きょうだいケア(NPO法人しぶたね清田悠代×Sibkoto藤木和子対談)[転載]

病気や障害のある子どものきょうだいたちの課題は、気づかれにくく目に見えにくいことなどからケアが難しいと言われています。
そんなきょうだいたちが “子ども時代を安心して過ごせるように” “自分らしく生きていけるように”という思いのもと活動するお二方のインタビューを特集連載にてお届けします。
インタビューに答えてくださったのは、NPO法人しぶたねの清田悠代さんと、シブコトの藤木和子さんです。
子どものきょうだい支援×大人になったきょうだい

―お二人はどのような活動をされているのですか?
清田さん
「しぶたね」というNPO法人で、重い病気がある子どものきょうだいたちが安心して過ごせることを目指して活動をおこなっています。具体的には、病気がある子どものきょうだいが主役となり、仲間と出会えるワークショップの開催や、病院で面会中の親御さんを待っているきょうだいの居場所づくりなどです。
また、種まき活動として、小冊子「きょうだいさんのための本」の配布や、寄稿・講演、4月10日の「きょうだいの日(シブリングデー)」にあわせた啓発活動、きょうだいの応援団を増やしてつながるための研修などを行っています。

藤木さん
私は「Sibkotoシブコト│障害者のきょうだい(兄弟姉妹)のためのサイト」を大人になったきょうだい5人で運営しています。誰でも見られるオープンなサイトを通して、きょうだいのリアルな体験やヒント、全国各地のきょうだいに関するイベントの情報などを発信しています。
また、聴覚障害に特化したきょうだいの会「聞こえないきょうだいをもつSODAソーダの会」の代表もしています。SODAは、“聞こえるきょうだい”と“聞こえないきょうだい”の大人で運営しており、子どものきょうだいも親御さんと一緒に参加しています。
きょうだいの課題
―具体的にきょうだいはどんな課題を抱えているのでしょうか?
清田さん
私が出会ってきたきょうだいたちは、不安や孤立感など複雑な気持ちを感じながら、すごく頑張っている子が多いです。
「私は病気じゃないからもっと頑張らないといけない」というように、自分が病気じゃないことに罪悪感をおぼえたり、無理をする一方で、自分に大人の目が向かないことに寂しさを抱いたり、親の愛情が見えづらく不安になったりしています。
また、友達や周囲が発する無理解からの発言に心を痛めている子も少なくありません。
そして、その子たちの多くが、自らSOSを出せずに気持ちに蓋をしているかもしれないことも大切な課題だと考えています。「こんなこと思っていいのかな?」と苦悩していたり、もやもやを上手く言葉にできなかったり、そもそも自分のしんどさをしんどさとして認識していなかったり…。彼らの本心が聞けるのは、彼らが大人になってからだったりします。「じつはあの頃…」という形で数年経ってはじめて教えてくれることも多いです。

―藤木さんの弟さんに障害があるのですね。ご自身が子どもの頃、きょうだいとして何か感じることはありましたか?
藤木さん
子どもの頃よく言われた「お姉ちゃんは障害もなくて健康で恵まれているのだから頑張って」という言葉ですが、当時、それを言われるのがすごく嫌で…。
弟とはテレビゲームで一緒に遊んだり、時にはきょうだい喧嘩もしたりもしました。ただ、きょうだいは対等だと主張しながらも、障害だけでなく病気がちな弟に対して私は健康で申し訳なくて、自分が勉強や運動を頑張った結果に対しても罪悪感を持ってしまっていました。
よく爆発する私には、私自身も親も理由がわからず困っていましたが、大人になって気づいたのは、私のやり場のない思いは「きょうだい」としてはよくある現象の範疇だったということでした。当時、きょうだいという言葉を知っていたり、しぶたねさんのような大人に出会えていたら、私も親も違っていただろうなあと思います。

親の関わり方
―親はどのように子どもと関わることができればいいと思いますか?
藤木さん
いちばん大事なのは、子どもひとりひとりを個人として平等に扱うことだと思います。障害や病気のある/なし、兄/姉/弟/妹だからとか、成績やスポーツとか、子ども同士を比較するのではなく、一人の人間として見てあげてほしいなと。
もちろん、すべてを形式的に平等にする必要はなくて、家族のなかで納得できる平等であればいいと思うんです。そのためには、家族のメンバー誰もが、ちょっと我慢している、嫌だな、困ったと感じたことがあれば、何でも話すことができて、同じ目線で一緒に考えられる関係性が重要ですね。そして、子どもだけじゃなく、いつも頑張っている親御さんも自分を大切にしていただきたいなと思っています。

清田さん
私たちがいつもお話ししているのは、「不安なことや知りたいことをいつでも何でも聞いていいという空気をつくれるといいですよね」ということです。親御さんが子どもたちの声すべてをカウンセラーみたいに受け止めることは難しいので、きょうだいたちにも親にも、家のなかだけではなく、外の世界にも受け止められる場所があるといいなと思っています。
親御さんの物理的な時間は医療的ケアを必要とする子に多くかかってしまうかもしれませんが、物理的な時間=愛情の量ではないので、親がもっている愛情ときょうだいが感じている愛情にすれ違いが起こってしまわないように、それを見えやすくする工夫を一緒に考えることなら、私たちのような第三者にもお手伝いできるかもしれないと思っています。

きょうだいケアと家族の愛情を見えやすくするには
ーきょうだいはさまざまな感情を抱えていることが分かりました。そんなきょうだいに必要なケアとは何でしょうか?
清田さん
私たちが目指しているのは、きょうだいの子ども時代に「たくさん大事にされた」「たくさん愛してもらった」という機会を増やすことです。
高校生や大学生のきょうだいが、進路や就職を考える節目のタイミングで自分の人生を振り返り、意味付けをするようなことがあります。その意味付けをする際、温かい思い出が浮かぶかどうかで、未来に歩むためのエネルギーが変わるように感じています。
しぶたねでは、親御さんときょうだいがしっかり関われる時間をつくっています。その時間の中で、「うちの子って、こんな可愛い顔で笑うんですね」とおっしゃって写真を撮られる親御さんもいらっしゃいます。決してきょうだいが家で笑っていないわけではないんですよ。でも、親御さんたちは、ケアや子育てに追われ、ゆっくり寝られる日もなく頑張っていたりするので、ゆったりきょうだいに向き合う時間がありません。きょうだいの笑顔が親御さんの元気につながるとうれしいなと思います。

4月10日はきょうだいの日(シブリングデー)。 2019年一般社団法人日本記念日協会に認定・登録された。
チャーミングケアモールのきょうだいケア商品についてはどう思いますか?

清田さん
商品一覧に「きょうだい」というカテゴリーが入っていることがうれしいですね。親御さんのなかには、きょうだいという文字を見ること自体苦しい方もいらっしゃいますが、お見舞いの品を探す方に、きょうだいも頑張っているんだと知ってもらえるのは大きな一歩です。
しぶたねでも、「つぶたね」というきょうだい支援のタネをまくキャラクターがいて、そのあみぐるみさんは遊びのアイテムとしてとても人気です。

NPO法人しぶたねのキャラクター「つぶたねちゃん」 きょうだいの日など、きょうだいさんと親御さんのふれあいの場で活躍しています。
藤木さん
私もきょうだいという存在の認知につながるのはとてもうれしいです。商品ラインナップも素敵なものばかりなので、見ていて気持ちが明るくなります。
きょうだいも一緒に選んで買ってあげられるような商品が増えればさらにうれしいですね。きょうだいたちも、おそろいのものが欲しいとか、自分が気に入ったものが欲しいと思っているはずなので。

清田さんがおっしゃられたように、私も温かい思い出が大切だと思います。最近、親もいろいろと考えて私と過ごしてくれていたのだろうなと考えるようになりましたし、きょうだいの活動への家族の理解にも感謝しています。特別なことは必要ないので、日常生活のなかで少し本音を話せる時間や気にかけてるよという思いやりや愛情が伝わる声かけがあるといいですね。

今後の目標
―素敵なお話をありがとうございました。最後にお二人の今後の目標を教えてください。
清田さん
きょうだいの応援団をもっと増やしたいです。現在、きょうだいの応援団を増やしつながりをひろげるための「シブリングサポーター研修ワークショップ」を全国各地で開催しています。おかげさまで3年間で800人以上の方が受けてくださって、そのネットワークは広がりつつあります。それでも、一人ぼっちで頑張っているきょうだいは全国にたくさんいるので、その子たちに届くサポートがしたいなと思っています。

藤木さん
シブコトも2年間できょうだいの登録が1000人を超えましたが、「きょうだいという言葉をもっと早く知りたかった」という声が多いです。認知度はまだまだ低く、きょうだいが誰もが知っている言葉になることで、きょうだいや親御さん、支援者の方が必要な時にアクセスしてもらえるサイトにしていきたいです。
また、きょうだいと言っても、背景や価値観、生き方、共感できる内容や参考にしたい情報も違うので、多様な体験や声を発信するきょうだいが増えていくといいなと思っています。
清田さん・藤木さん、貴重なお話ありがとうございました。

チャーミングケアモールのきょうだいケア商品のラインナップはこちらでご覧になれます。
病名や障害名で商品を検索することができることに加えて、それぞれの困りごとで絞り込みをかけることが可能です。
https://charmingcaremall.com/shopping/?features_hash=3-3
【ライター】
エスママ 竹田扶美可
https://www.s-mama.jp/
【参考】
4月10日は「きょうだいの日」。病気や障がいのある子どもの「きょうだい」の存在を知り、思いを馳せる優しい記念日に NPO法人しぶたね
https://jammin.co.jp/charity_list/200316-sibtane/
気づいて!病気や障害の子の隣 寂しさ我慢している「きょうだい児」yahoo!ニュース3/24(火) 15:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200324-00010000-yjnewsv-l14&p=1
【対談者のSibkoto記事】
清田悠代(NPO法人しぶたね代表)
あなたが「子ども」でいられるように
https://sibkoto.org/articles/detail/11
藤木 和子 (Sibkoto運営者)
「“きょうだい児”だったから弁護士になった私~周囲の期待と自分の進路・職業選択~」
https://sibkoto.org/articles/detail/6
【チャーミングケアインタビューきょうだいケア特集(元記事)】
前編
https://charmingcaremall.com/page32/siburing/
後編
https://charmingcaremall.com/page32/siburing2/
※Sibkotoに転載させていただくにあたり、写真の追加等の編集を行いました。
【Sibkoto編集部より】
Sibkotoでは、きょうだい、きょうだい児(おいめい、いとこの方含む)についての体験談を募集しています(匿名での掲載可)。親御さんや家族、支援者等の立場の方も歓迎しています。体験談はタイトル、中見出しを含めて2000文字以上の文章とさせていただきます。体験談掲載希望の旨、お問い合わせページ よりお待ちしております。