2019 . 07 . 07

兄がいたからこその出会い[寄稿]

知的障害と身体障害の兄がいる山口翔太さん。山口さんの子どもの頃の体験や、会社を休職していた頃の出会い、退職してグラフィッカーとして働くことを決めた経緯などについて、寄稿して頂きました。



グラフィックファシリテーションとの出会い



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グラフィックを描いている姿



会社を退職して、数日後、お世話になっている方が、「来週、こんなイベントのゲストで出るけど、イベントで実施されるグラフィックファシリテーションという技術は、見た方がいいよ!!」と言ってくれました。グラフィックファシリテーションとは、会議や話合いの内容を、その場でグラフィック化し、グラフィックを活用して、場の活性化・想いの確認、合意形成のためのツールとして使う“場”の見える化の技術です。実際に見て、この技術に魅了されました。元々、人の声が生まれるきっかけをつくりたいという自分の想いと、グラフィックの技術が結びついたからです。しかし、いろんなことに迷っている時期でした。グラフィックを仕事にしたいけれど、そもそも需要があるのか?安定した道はいっぱいある。関東の方に出て、就職する選択もあり、外の世界に出たいという想いもありました。そんな時、加藤さん、水野さんが、富山で居場所をつくっている人を紹介する冊子を、グラフィックファシリテーションで作れないか?という依頼をくれました。富山でも、自分の技術を求めてくれる人がいる。とても嬉しいことでした。それなら、富山を拠点に全国で仕事がしたいと、フリーランスのグラフィッカーになることを決意しました。

グラフィッカーとして、きょうだいのこと、障害のことについて



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北陸きょうだい会でのグラフィックファシリテーションの実施



グラフィッカーになってから、きょうだいについて、お仕事で関わらせていただけるようになりました。みやの森カフェで、知り合っていた北陸きょうだい会共同代表の松本理沙さんから、北陸きょうだい会のワークショップや、親なきあとセミナーに、グラフィックファシリテーション導入の依頼をいただきました。特に、ワークショップでは、きょうだいが日ごろ思っていることをグラフィック化していき、参加者で、そうそうこんな感じ!!とグラフィックを見ながら、話しをしていきました。

その後、少し意外な出来事がありました。Facebookに投稿した、イベントの様子と、グラフィックを見た知人(きょうだいの立場ではないし、障害というものにあまり触れたことがない)が、「文字だと、どうしても躊躇して、障害とか、きょうだいのことって遠ざけてしまうけど、グラフィックだと可愛いから、見ることができた。いろんな人がいて、いろんなことを考えているね。」と伝えてくれました。これだ!!と思いました。グラフィックは、どうしても世間的に重くなりがちなことでも、気軽に触れやすくなるのではないか?もちろん、どう考えるかは、その人個人の自由ですが、出会うきっかけをつくれるのではないかと思いました。

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北陸きょうだい会ワークショップでのグラフィック



私は、業種・分野関係なくお仕事を受けています。それは、自分がいろんな業界の、いろんな人の前で描けば、描くほど、障害やきょうだいについて、遠くまで届くきっかけには、なれるかもしれないと思っているからです。みんなで理解しようよ!!とは思いません。でも、知る・触れてみるということは大事なんじゃないかと思います。
 
また、先ほど紹介した一般社団法人Ponteとやまと作成・販売している冊子「居場所×人」でも、10箇所掲載している居場所のうち、少なくとも1箇所は、障害がある人でも行きやすい場所を載せています。これは、兄のような重い障害がある人にも、居場所となりえる場所を載せたいという想いからでもあります。

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冊子”居場所×人”



兄の将来について


最後に、兄の将来について、考えていることは一つだけです。

「困ったら、家族じゃない外の人に相談して、助けてもらう。」ということです。福祉の専門・専門外含めて5人ほど、相談しようかなという人が周りにいます。本当にありがたいことです。大事な兄弟なので、何かあったときに、冷静に考えられる自信がありません。だからこそ、外の人に話を聞いてもらう必要があると感じています。それは、休職したときに、外の人が、いろんなきっかけをくれた経験からでもあります。考えが甘いと言われるかもしれませんが、これが今の私の精一杯考えた答えでした。

こうやって、いろんな人とつながって、いろんな場で仕事をするきっかけをくれたのが、一般社団法人Ponteとやまです。こことつながらなければ、今頃なにをしているのかと思います。この文章を書いてはいないでしょう。そんな大事なきっかけをくれた兄に、とても感謝しています。これからも、よろしくね。

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