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2018 . 06 . 28

家族だけで妹たちの面倒を見る気がない、だから起業した

Sibkoto運営者の1人であり、最重度の身体・知的障害がある3人の妹をもつ深見勝弘さん。「バリアフリーをデザインして笑顔を創る会社:株式会社ハビリスデザイン」の起業に至った理由とSibkotoへの思いをインタビューしました。

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深見 勝弘 さん 

1982年生まれ。2012年「バリアフリーをデザインして笑顔を創る会社:株式会社ハビリスデザイン」を設立。障害福祉サービスやバリアフリーリフォーム、カフェなどを展開。本業の傍らSibkotoの立ち上げ、運営に携わる。


家族だけで妹たちの面倒を見る気がない、だから起業した


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私は4人きょうだいの長男で3人の妹に最重度の身体・知的障害があります。現在は3人の子どもの父親でもあります。
大工、バリアフリー関係のリフォーム会社、福祉関係の法人などを経て、2012年「バリアフリーをデザインして笑顔を創る会社:株式会社ハビリスデザイン」を設立しました。起業した理由は、「家族だけで3人の妹たちの面倒を見る気がなかった」から。特に自分の子どもが生まれてからなおさら強く意識するようになりましたね。妹たちの面倒を家族だけで見るのではなく、地域で見ていく仕組みを自分で作っていこうと思ったのです。私にとって、ひとつの大きな挑戦でした。

最重度の障害がある3人の妹たち


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3人の妹たちは重度の身体・知的障害で、1歳から5、6歳ぐらいの知的レベル、3人とも電動車いすに乗って生活をしています。長女と次女は双子で早産による脳性まひです。三女は障害そのものは3人の中では一番軽くてとても姉思いですが、その分一番我慢しているようにも私には感じます。妹たちはそれぞれ、生活介護事業所などに通いながら、長女は1人暮らし、次女と三女は2人で暮らしています。ヘルパーさんが訪問してくれ、外出もできます。最重度の障害がある妹たちが地域で「自立」して生活をしていくとはどのようなことなのか、これも試みのひとつです。

ヘルパーさんたちの方が家のことを知っていた


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子どもの頃から、家には多くのヘルパーさんや、ボランティアさんが何人も出入りしていました。私は周囲に対して、妹たちの障害を隠すつもりはなく、友達もよく家に遊びにきました。
しかし、中学生ぐらいになると、部活などが忙しくほとんど家にはいませんでした。私よりもヘルパーさんやボランティアさんの方が家のことをよく知っていたのは少し複雑な気持ちがありました。常に家の中には家族以外の誰かがいて、家族「だけ」の楽しい時間の思い出は正直ほとんどありません。「サザエさん」のようなテレビで観る家族の団らんが憧れで、自分の家族を早く作ろうと子ども心に思っていました。

自分の家族をもつ


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結婚は23歳の時でした。相手はもともと家に良く遊びにきてくれていました。しかし、後から聞いた話では彼女の親御さんは相当悩まれていたそうです。また、これも今だから言えるのですが、私は自分の子どもは絶対に障害のある子が生まれてくると思っていました。なぜか理由はわからないのですが…。
結婚して、特に自分の子どもが生まれてからは、「自分の家族や子どもに妹たちの面倒を見させてはいけない」、「地域で見ていく仕組みを作るんだ」となおさら強く意識するようになりました。それが、起業を決意した大きなきっかけです。

福祉の世界で生きることを選んだ理由


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私は最初、木造建築の大工をやっていました。そして、自分の子どもが生まれたことを機に、バリアフリーリフォームの会社に就職しました。福祉の世界に入ったのは、子どもの頃から家に出入りするヘルパーさんやボランティアさんの姿を見てきたこと、ヘルパー派遣のNPO法人を運営している母の影響などが大きかったと思います。もちろん、自分にとって身近すぎる世界だということで、逆に視野が狭くなってしまうのではないかという気持ちも心のどこかにはあったのですが、周囲に問題意識や影響を与えてくれる存在がいて、将来の目標設定がしやすかったという点ではありがたかったと思っています。
その後、29歳の時に「バリアフリーをデザインして笑顔を創る会社:株式会社ハビリスデザイン」を設立しました。放課後デイサービスなどの障害福祉サービスやバリアフリーリフォーム、カフェなどを展開しています。福祉施設に併設するカフェは自家製のジンジャーエールがおすすめで、夜は生ビールやおつまみも出していますよ。

“きょうだい”に出会う


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バリアフリーリフォームの会社に勤めていた時、依頼先のお宅で自分と同じ立場のきょうだいをときどき見かけました。正直、家族との関係や進路選択、将来設計などで「悩み過ぎているな」と感じることが多かったです。私も”きょうだい”として子どもの頃からいろいろと思うところはありましたが「悩み」自体はあまりなかったために、きょうだいの「悩み」の存在に気付いてこなかったことにハッとしました。そこからいろいろと調べるようになり「きょうだい」という言葉を知りました。

湘南きょうだいの会の立ち上げと友人の死


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湘南きょうだいの会は、あるきょうだいの集いで出会った友人と立ち上げました。たまたま同世代で住んでいるところも近かったんです。ですが、彼はさまざまなことが重なり自死してしまいました。悩みをためこんでしまっていたのでしょうね。”きょうだい”は自分自身が自覚しているよりも大きな悩みを抱え込んでしまっているような気がします。他の人には言えない悩みや我慢していること、不安などを同じ立場のきょうだいだけで話せる場がないと自分が崩れてしまうし、前にも進めないということを彼からはとてもつらい形でしたが教えてもらいました。彼のことを忘れないためにも参加希望者の方がいる限り、湘南きょうだいの会を続けていきたいと思います。

Sibkotoへの思い


これまでのきょうだいの集いといえば、湘南きょうだいの会のように直接顔を合わせて会う形が主流でしたが、Sibkotoというインターネット上の場が生まれ、これからどうなっていくのか、私自身がとても楽しみです。
Sibkotoを通して発信することで「きょうだい」という存在を社会に知ってもらうことも大事ですが、私としては、まずはひとりひとりのきょうだいに「きょうだい」という言葉を知ってもらった上で、Sibkotoを使うか使わないか、使うならどう使うかを考えてもらえたらと思います。そうしていくことで、最終的には社会にも「きょうだい」の存在が知られていくのではないでしょうか。

この人生が私にとっては普通、全力で生きる


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私のように4人きょうだいの長男で3人の妹が重度の障害というのは“きょうだい”の中でも少数派です。同じきょうだいの立場の人からも「大変だね」と言われることが多いですが、私にとってはこの状況が普通で、この人生しか経験したことがありません。また、私の「きょうだい」としての感覚が、仕事にも生かされていると感じます。「きょうだい」だからできたこと、できることがあると自分の強みにしたいと考えてきました。この人生、この境遇を全力で生きていくだけだと思っています。

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