2019 . 05 . 31

北陸きょうだい会運営者の体験や思い

北陸きょうだい会の共同代表であり、知的障害のある双子の妹2人がいる金山敦さんと、発達障害の弟がいる高橋さん、同じく共同代表を務める松本理沙(Sibkoto運営者)が対談しました。


北陸きょうだい会の立ち上げまでの経緯

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松本 私は2018年春に京都府から石川県に引っ越したのですが、京都でのきょうだい会の経験を活かし、こちらの地域でも活動を続けていきたいなと考えていました。そこで、きょうだい会界隈で知り合った昔からの友人で、お隣の富山県に住んでいる金山くんと高橋くんに声をかけ、会の立ち上げ準備を始めました。2012年頃に、金山くんが富山県内できょうだい会の活動をしていて、私も参加させて頂いたことがあったので、安心感もありました。
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松本 最初は、運営者が住んでいる、石川と富山だけで開催しようと考えていました。福井も含む北陸3県で活動を行うことになったきっかけの一つに、私が石川に引っ越す直前の時期、福井県敦賀市在住のきょうだいの方が京都きょうだい会宛に連絡を下さっていて、やり取りしていたことがあります。その方と「引っ越し後に会いたいですね」というお話はしていたのですが、敦賀市は福井県の西側にある市のため、石川・富山からはやや遠いなと感じていました。でも、福井県の東側にある福井市であればお互いにとって比較的アクセスしやすく、また、福井市在住のきょうだいの知り合いが何名かいたことも後押しし、北陸3県を活動地域とする「北陸きょうだい会」を立ち上げ、運営することにしました。

金山 僕がきょうだい会に関わったきっかけは、2012年に富山で『ちづる』という映画の上映会を開催したことがあります。そのイベントを通して、いろんなきょうだいの方と出会うことができました。しばらく活動らしい活動はしていなかったのですが、松本さんの声掛けをきっかけに、活動を再開することにしました。
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2012年2月、映画『ちづる』自主上映会でのトークイベントの様子。写真右端が金山さん、右から2番目が赤﨑監督。写真は「SON・富山 活動報告ブログ」より引用。


金山 子どもの頃、小学生低学年くらいの時までは、妹のことについて考えることはあまりなかったのですけど。小学校4年生の時に、妹たちが特別支援学級に入ることになって、それをきっかけに、自分の妹が他の子たちと違うということに気づいたのです。中学校では、妹たちが特別支援学校に進学したので、一緒の学校になることはなかったのですけど、周囲に自分の妹のことをなかなか話せないな・・・というのが続いていました。そのもやもやした気持ちを抱えたまま大人になったのですが、『ちづる』の監督の赤崎さんの新聞記事を読んでみると、自分と全く同じ思いを持っていて、同じ悩みやつらさを抱えていることを知ったんです。それから、障害者の数だけとは言わないですけども、それに近い同数程度のきょうだい達もいるんじゃないかなと。その中には、自分が思っていたのと同じような思いを持っている人がいるんじゃないかなと思ったのが、きょうだい会の活動に関わることになった理由です。

高橋 実は、金山とは、先に別のところで知り合っていました。金山が企画した『ちづる』の上映会があることを新聞報道で知りまして、「金山も同じ『きょうだい』だったんだ」と思って。それをきっかけに、金山の活動に加わるような形で、「きょうだい」というところに関わりを持つようになったのかなと思います。松本さんが開催されていた京都の「しろくま会」の集まり等にも参加したことがあります。日常生活の中で、「確か、弟いるんだよね?」という話が出た時に、喋ろうとは思うんですけど・・・そこでいつも2つ頭によぎるのは、1つは説明がややこしくなって面倒なことになるかなというところと、もう1つは障害のことも含めて話をする時に、「この人に話しても大丈夫なんだろうか?」というところですね。その結果、隠すこともありますし、相手によっては話す内容をかなり絞り込んでしまうこともあります。きょうだい会では、障害の種類や立場の違いなどがあっても、きょうだいという意味では共通している部分はあり、話が早いところは会のメリットなのかな、と考えています。

北陸きょうだい会の活動内容


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運営者間で効率良く情報共有・整理するためのツールの使い方について、金山くんからレクチャーを受ける高橋くんと松本。職種・経験が多様な人たちが運営に関わることの良さの一つです。


松本 北陸きょうだい会の活動内容や方針について、お二人はどのように考えていますか?

高橋 きょうだいといっても、障害の種類、同性であるか異性であるか、年齢差など、人それぞれ違いはありますが、それぞれの抱える悩み事などを気軽に出し合える場を作ることを、まずメインに置きたいというのはありますね。北陸3県は端から端まで行くとかなりの距離になりますので、まずは近いところ、日程の合うところから参加してみようと思ってもらえるように、参加へのハードルをなるべく低くしておくことが重要かなと考えています。

金山 参加対象者は、大人のきょうだいの方であれば誰でも参加可能という形をとっています。会の活動の中で大切なのは「排除しないこと」だと思っていまして。やっぱり、きょうだいの立場の方がきょうだいに排除されてしまうと、また同じ思いを抱えてしまうかなというのもありますし、それは避けなければいけないなと。あと、参加しないことも含めて、自由に出入りできる環境を整えておきたいと思っています。あとは、活動中の話ですと、自分の話をすることを強制しなくてもいいかな、と。話を聞いているだけでもOKですし、話したくないことは話さなくてOKです、という環境を作っています。今は、月1回程度、富山・石川・福井の対象地域で、日中のカフェでの集まりと、夜は懇親会という形で、少しお酒を飲む場も設けています。
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2018年6月、富山市内で開催した懇親会の様子。


松本 そうですね。まだまだ試行錯誤中ですが、カフェや飲み会のような、なるべく気軽に参加できそうな場作りをベースに、様々な人・団体と繋がりながら活動を行うことも大切だなと感じています。例えば、先日開催したみやの森カフェで行ったワークショップも良かったですね。元々、みやの森カフェと関わりのあったきょうだいの方にも多くご参加頂きましたが、「きょうだい会」として構えているだけでは繋がることができなかっただろうなと思います。セルフヘルプ・グループの基礎を大切にしながら、様々な可能性を模索していければと思います。
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2019年5月、みやの森カフェ(富山県砺波市)でのワークショップの様子。


人前で体験談を語ること


松本 過去に3人で大学のゲスト講義で登壇して、きょうだいについて話したこともありますけど、そのような啓発活動を自分の中でどういう風に考えていますか?自分の体験を、きょうだいのことを知らない人たちが多い場所で話すっていうことについて。

金山 自分自身が、きょうだいという概念といいますか、自分と同じような立場の人がいるということに気が付いたのが社会人になってからのことだったので、学生の時期に知ってもらうことは意味があると思います。もしかしたら、きょうだいの方もおられるかもしれませんし。また、この先、支援者になるために学んでいらっしゃる学生さんに対して、きょうだいという概念もあるんだよ、というのを知って頂くのは大切なことなのかなと。今後、親の会や関連団体を通じて、きょうだいが集まれる場があるんだよ、というのを周知していくことも大切だと思っています。

高橋 私の今までの人生の中には、きょうだいならではの部分とそうでない部分があるのですけども、そういったところも話していくことで、自分の中でも改めて整理できてくる部分があります。その中で、同じきょうだいという境遇にある方、もしくは金山が話した通り、将来支援者になる方に、「そういえば、あの時、こういうことを喋ってた人間がいたな」と思い出してもらったりとか、そういった方向で悩みを抱える人のためになることができれば自分としては幸せなことですし、今後の自分のためにもなるのかな、と思っています。
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2018年6月、富山大学で講演した時の様子。


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