2019 . 04 . 13

全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会 会長の思い

全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(略称 全国きょうだいの会)の会長であり、会に50年近く関わっている田部井恒雄さんに、ご自身の体験、きょうだいへの支援や会への思いなどを語っていただきました。

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田部井 恒雄さん  (全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会 会長 )

1947年生まれ、神奈川県川崎市在住。全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会 会長、社会福祉士、元相談支援専門員。大学の時にきょうだい会に出会い、以来50年近く関わり、2003年から会長を務める。もともとは電機会社のエンジニアだったが、日本理化学工業株式会社(チョークを作っている障害者雇用の先駆的企業)に転職。その後、障害者施設に長年勤務し、現在に至る。特定非営利活動法人かわさき障がい者権利擁護センター理事。

きょうだい会が青春だった


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 全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(略称 全国きょうだいの会)の会長の田部井恒雄です。3兄弟の長男で、次男の弟に中度の知的障害がありましたが、15年前に病気で他界しました。

 きょうだい会に出会ってからは50年近くになります。きょうだい会の活動は私にとっての青春で、妻や生涯の友人とも会で知り合いました。当時は、きょうだいではない人もボランティアとして多く参加してくれており、妻もそのひとりでした。長女がいます。会に参加した当時は大学生で、卒業後は電機会社でエンジニアの仕事をしていたのですが、会の活動にのめり込んでいくうちにエンジニアを落ちこぼれそうになり(笑)、障害者関係の仕事に転職しました。

 ちなみに、当会への参加者は年齢層は学生がからシニアまで幅広く、福祉や障害に関する職業に就いている人の割合が比較的多い印象ですが、そうでない人も多いです。若い世代が頑張っていてとてもうれしく思います。

全国きょうだいの会の創立



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創立50周年パーティの様子



 当会は昭和38年(1963年)に、ひとりのきょうだいが新聞に会の設立を呼びかけたのがきっかけで発足し、昨年平成30年(2018年)で丸55年になりました。創立大会には当時の著名人である永六輔さん、島倉千代子さん、水上勉さんなどが参加してくださったそうです。

 当初の名称は「全国心身障害者をもつ兄弟姉妹の会」(略称「BSつくし会」、BSはBrothers and Sistersの略)でしたが、障害のある人の人権を尊重する社会の流れを受けて「もつ」ではなく、平成7年(1995年)に現在の名称「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会」(略称「全国きょうだいの会」)に変更しました。

「ともに歩む」


 障がいのある人のきょうだいといっても、障がいのある人を好きな人も嫌いな人もいます。親と仲の良い人も悪い人もいます。色々は背景があることを理解した上で、気持ちを気兼ねなく思いっきり出し合い、気持ちが少しでも楽になることが大切です。

 当会の名称には「ともに歩む」という言葉が入っています。そのために「この会では、自分が犠牲になっても、障害のあるきょうだいの世話をしなければならない、と言われてしまうのか」という感じる方もおり、議論になっています。しかし、それはもちろん誤解です。近年、きょうだいと障害のあるきょうだいの心中事件のニュースがありましたが、誰にも相談できなかったようです。そのような事件は起こってはならないと胸を痛めています。

 私たちは「きょうだいとはそれぞれが自立した存在である」と考えています。障害のあるきょうだいは親や他のきょうだいから「保護」される存在ではなく、他のきょうだいの人生を縛る存在でもありません。もちろん、社会の支援を受けて「自立」することも含めてです。きょうだいも、障害のあるきょうだいも、それぞれが自分の人生を見つけて歩んでいくことが「ともに歩む」と言えるのだと思います。大事なことですので、今後も皆さんと一緒に考えていけたらと思います。

各地の活動と全国総会


 全国には約250名の会員がいます(2019年4月現在)。東京に本部があり、各地域の集まりで会員同士が心を通じ合い支え合っています。また、福祉情報の学習や一般向けの講演会を行っている地域や、若い世代の会員の自主的な集まり、子どものきょうだいへの支援を行っている地域もあります。

 毎年4月に、全国の会員が集まる全国総会を開催しています。今年、平成最後の全国大会は大阪で開催します。毎年、全国から50名程参加します。昨年は、札幌、静岡、岡山、宮崎でのきょうだい会の活動が始まり、今後も全国各地にきょうだい会が広がっていくのが楽しみです。

全国総会のお知らせ
 4月21日(日) 2019年 全国きょうだいの会全国総会in大阪
 詳細はこちらをご覧ください。
https://www.kokuchpro.com/event/f1e6b172c1f362dd6a120f19ce14f286/

 全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会ホームページ

各地のきょうだい会
 北海道地域(札幌)・東北地域(仙台)・関東地域(東京)・東海地域(静岡、愛知)・関西地域(京都・大阪・神戸)・中部地域(岡山、広島)・九州地域(福岡、宮崎)

機関紙つくし



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機関紙つくしの創刊号は手書きでガリ版刷りでした



 機関誌つくしは、現在は年に4回発行しています。全国各地の会員の活動の様子や近況報告のお便り、相談コーナー、福祉情報などを掲載しています。「ウエディングロード」は人気連載です。近くにきょうだい会の集まりがないために参加できない会員から、大切な交流の場、心の支え、自宅に届くのを楽しみにしているという声をもらっています。

 今年平成31年4月(2019年)に刊行された300号記念号には会員のメッセージを募集したところ50名以上からメッセージが届きました。近年はSibkotoなどのSNSの存在が台頭し、新しい時代の到来を感じますが、インターネットへのアクセスがしにくい人もいます。SNSの活用と並行して今後も機関紙つくしの発行は続けていきたいと思っています。

「もっと早くこの会を知っていれば、こんなにひとりで悩まなくてよかったのに」



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平成21年に作成したパンフレット「若いお父さん お母さんへ~障がいのある人の”きょうだい”のホンネ~」を親の会や行政、特別支援学校等に送りました



 また、きょうだい会の集まりで必ず聞くのが「もっと早くこの会を知っていれば、こんなにひとりで悩まなくてよかったのに」という言葉です。そのようなことがなくなるように、子どものきょうだい(きょうだい児)への支援活動や親御さん、療育関係者、支援者向けの講演会なども重要だと考えて行っています。

 特に、療育施設に協力してもらって通園児のきょうだいの集まりを開催しています。全国各地で、私たちの会だけではなく、色々な団体が子どものきょうだいへの支援活動をするように促し、支援していきたいと思います。なお、きょうだいへの支援は親御さんや家族だけで解決できる問題だけではありません。社会からの家族全体への支援が必要です。


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 今年平成31年(2019年)2月には、親御さんを中心に活動されている全国手をつなぐ育成会連合会全国大会(京都)で初のきょうだいの分科会が開かれ、約150名の参加がありました。私と関西の会員数名が登壇しました。きょうだいの分科会開催への多くの方のご尽力に感謝するとともに今後もぜひ続けていきたいと思います。

国や社会に向けて


 一方、課題の根本的な解決のためには、国や社会に向けて障害のある人やその家族への理解を深め、支援を求めていくだけでなく、障害のある人やその家族への差別や偏見が無くなる、少なくとも軽減されるような活動をしていかなくてはならないと考えています。
 そのような意味で、当会は発足当時の呼びかけ文の下記の考えを大切に活動してきました。
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 全国的な障害者団体関係団体20団体が集まる全国社会福祉協議会の障害者関係団体連絡協議会(障連協)日本障害者協議会(JD)にも参加して、微力ながらきょうだいの立場からの声を伝えています。
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 国や社会に働きかける根拠の一つにするためにアンケート調査も実施する予定です。平成9年にも同様のアンケート調査を実施し、平成19年には国際障害者年記念ナイスハート基金の障害のある人のきょうだいへの調査アンケート調査に協力しました(障害のある人のきょうだいへの調査報告書)。

きょうだいへのメッセージ



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手をつなぐ育成会連合会全国大会きょうだい分科会での集合写真



 きょうだいといっても色々な背景、体験、気持ちがあります。色々な会員と語り合い、先輩の話を聞き、情報を得ていくうちに、解決方法やヒントが見つかり、できれば前向きになれる会でありたいと思っています。まずは良い仲間を得て、一歩前進しませんか。

全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会ホームページ

【Sibkoto編集部より】
 Sibkotoでは、きょうだい、きょうだい児についての体験談を募集しています(匿名での掲載可)。親御さんや支援者等の立場の方も歓迎しています。体験談はタイトル、中見出しを含めて2000文字以上の文章とさせていただきます。内容は問いません。体験談掲載希望の旨、お問い合わせページ よりご連絡ください。

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